
後期高齢者医療制度や医師不足問題、在宅介護など、地域医療問題に関する情報は連日取りあげられ、多くの県民にとって医療問題のひとつとして認識がひろまっている。また、「良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律」においては、都道府県を通じた医療情報の提供制度の確立、広告規制の見直しを通じた広告可能な事項の拡大等、県民に対する医療情報の提供の推進を図るものとしており、関係する規定は平成19年4月1日より施行されているところである。このように県民が主体的に医療サービスを選択できるような環境づくりはみられるものの、県民が知り得たい情報の提供は少しも進んでいない。このような背景には「患者が必要とする情報を、患者に確実に届け、理解につなげよう」といった、医療提供サイドの認識が低いことが強く影響していると論じている報告もみられる。本稿では現在までの歯科医療情報提供に関して情報内容および情報提示手段について整理するとともに、問題点を把握し、今後の県民に対する歯科医療情報の提供についての議論の方向性を見いだすものとなればと考える。

歯科医療情報には病院・医院情報、疾患・治療方法情報および各種歯科事業・医療サービス情報などが含まれ、これらは様々なメディアを通して県民に情報発信されている。 一方で、それぞれの施設・機関が発信する情報の内容や質には明らかな格差があり、さらに県民の求める情報と施設・機関が提供する情報にはミスマッチがあり、それを解消するための取り組みが少ないとの報告もある。これまでは広告規制の問題もあり最小限の基本事項に関する情報の提供が主であり、県民の目線にたった情報提示はなされていないのではないか。たとえば、待合室の院内掲示調査では、診療科の案内、個人情報の取り扱いなど基本的な情報はある程度入手できるが、歯科医師の専門性などの情報、カルテ開示やセカンドオピニオンなどの情報、白費診療と保険診療の違いや治療にかかる費用についての情報は少ないか、掲示していても患者側にわかりやすく情報提供されていないと思われる。
《岩手県歯科医師会》 広く県民に歯科情報を提供するための体制づくりの一環として「8020プラザ」を県民に無料で開放しているものの、県民の認知度はまだまだ低い。また、「8020健康フェスタ」等各種イベントについてはホームページやポスター等の配布にて県民に情報提供している。ホームページは地区ごとに開設しており会員紹介、事業案内などを紹介している。一方、県歯ホームページでは歯の健康チェックが気軽にできる内容となっており、興味深い内容となっているものの、歯科疾患の全身疾患との関連や治療方法についてなど全身健康における歯科医療の重要性の提示については一考の余地があるものと考える。 医療広告ハンドブック2008年度版(岩手県歯科医師会)は会員が広告を行う場合のマニュアルとして活用しているが、表現の難しさや記載の仕方により、広告を行う医療機関や広告代理店等に混乱が生じやすくなっている。
《各学会、歯科関連業者、個人》 積極的な歯科情報提供をホームページなどを通し行っている。 学会や歯科業者のホームページでは専門分野の紹介がされており、歯科医院向けと一般向けに区別されることが多いが、県民が主体的に情報を得る手段としては縁遠い。個人の場合、基本事項中心のホームページも多く、治療内容の紹介は主として医療広告規制の対象になる審美などや、より詳しい専門領域に関する情報提供を行っているケースもある。 インターネット上では様々な歯科情報サイトが存在するが、歯科相談を受けているサイトでは個人の歯科医師と契約して回答を行っている場合も多い。セカンドオピニオンについてもアメリカほど普及はしておらず一般にはネット上でその存在がわかる程度である。

一般的にう蝕、歯周病の2大疾患の存在はひろく県民に認知されているところであるが、口腔疾患の全身健康に及ぼす影響について十分な理解が得られているとは言い難い。 岩手県歯科医師会では「口腔保健からの生活習慣病対策について」など医療現場におけるマニュアルの作成等行っているものの、県民に広く口腔健康の重要性について情報が提示されているかといえば必ずしもそうではない。「本当は怖い…」某民放番組で各疾患が紹介されると翌日の問い合わせは多くなるとの報告があるが、前述のように県民が主体的に情報を入手できる手段を充実させることも必要であるし、このように医療サイドから様々なメディアを介して積極的に情報を伝達することは不可欠である。
県民の目線から歯科医療情報の提供を考えると以下の項目を考慮する必要がある。 ・県民に配慮した情報提供を行っている ・わからないことをいつでも聞ける体制がある ・苦情の回答を開示している ・県民との情報の共有化がみられる
そして ・歯科医療情報の内容 ・歯科医療情報の提供法 ・提供される情報の質の問題 ・情報の質を高めるための仕組みづくりについて具体的な論議が必要と考えられる。
(岩手県歯科医師会調査室)

「8020運動」は、平成元年厚生省および日本歯科医師会により提唱され、21世紀における国民健康づくり運動として歯科医師会が中心となって推進を図り、平成17年に80歳で20歯以上の歯を有する者の割合が初めて20%をこえて一定の効果を得ているが、「8020運動」の認知度、国民運動としての普及としては、まだまだ目的達成には至っていない。20年間の運動の節目として、視点を変えて地域住民を巻き込んだ住民のための住民による運動の展開、「新8020運動」を模索していく。8020達成のためには、地域住民の多くの歯科受診が重要であり、受診率向上のためにも「かかりつけ歯科医」の認識のもと、県民の二一ズにあった歯科医療を展開する必要があることから、岩手県歯科医師会は「かかりつけ歯科医」機能を支援するプロジェクトを立ち上げた。

岩手県歯科医師会の地域歯科保健委員会と他委員会との連携により「新8020運動」並びに「かかりつけ歯科医」の普及啓発事業を継続実施している。歯科健診、乳幼児・学校・成人・高齢者歯科保健の推進、障がい者・有病者・要介護者歯科保健医療の推進、口腔保健領域からの食育推進支援事業、地域・職域保健連携推進事業の実施を展開することにより、国民の健康寿命の延仲に向け、予防を重視した健康づくりを展開し、家庭力、地域力の強化と共に充実した人生を送ることを目的にした「新健康フロンティア戦略」の推進にも寄与するものである。

岩手県歯科医師会では口腔保健センター事業運営委員会が中心となり、「かかりつけ歯科医」として会員の意識向上とその機能を支援し、更なる歯科医院の経営の安定と、安心で安全な歯科保健・医療の提供を目指す。 ・第1大臼歯保護育成事業 ・学校歯科保健支援推進事業 ・歯周病対策等各種健診支援事業 ・医療情報提供書等の活用 母子手帳の改正、学校健診のあり方の改正、メタボリックシンドローム対策、新たな介護保険制度、平成21年度から始まる社会保険制度改革等、歯科医師を取り巻く環境が急激に変わりつつある。私たちは、一人一人が「かかりつけ歯科医」としての役割を白覚し、その機能推進に努力を必要とする。


本大会は、県内各地から県民ならびに歯科保健事業関係者の参集を求め、口腔衛生思想の啓発、歯科保健の諸問題について研究討議を行い、8020運動の推進等、歯科保健事業の推進に多大な功績のあった個人、学校関係者および団体を表彰し、岩手県における歯科保健事業のなお一層の充実、発展に寄与することを目的にスタートした。 この3年間、午前の部は県民健康講座として、「食」や「生活習慣」など各分野に共通するテーマを設け、関係者が一堂に会して研修会を開催してきた。また、午後の部のフォーラムでは、一般県民がより親しみやすい講師をお招きし、広く県民に話題提供できる環境を整え、歯科保健の啓発に努めてきた。そして、平成20年度は第10回の記念大会として位置づけ、一般県民はじめ歯科保健関係者多数の参加のもと開催されたところである。 特に今年は、8020運動がスタートして20周年という節目の年にあたり、今までの運動の評仙が行われるとともに、先の全国歯科保健大会においては、国民の歯と口の健康を守るため、住民参加型の保健活動として新たな8020運動に向かって鋭意努力することが宣言された。本県においても、地域に根ざした地域住民主体の体制作りが重要であり、それらのことからも本大会の担う役割は非常に大きいと考えられる。したがって、今後も住民とかかりつけ歯科医が一体となった活動をめざし、歯科保健発信の場としてさらに充実した大会となることが望まれる。

(岩手県歯科医師会常務理事西郷慶悦)
岩手県歯科保健大会・フォーラム「歯と健康」
第10回記念大会
平成12年に第1回大会を開催し、平成20年の今年度、第IO回目を迎えた。
| 日時 | 平成20年12月21日(日)午前10時-午後3時30分 | | 場所 | 岩手県歯科医師会館 盛岡市民文化ホール「マリオス」 | | メインテーマ | 「生きる力を支えるために」 ~地域に根さした地域住民からの新8020運動をめざして~ | | 内容 | ①歯科保健研修会(県民健康講座) テーマ「歯科保健からの小児支援を考える」 シンポジスト 「心臓病児の歯科治療について」 いわて心臓病の子どもを守る会会長 菊池信浩 「特別支援学校における歯科保健の取り組み」 岩手県立みたけ養護学校養護教諭 上澤裕子 「自閉症児への口腔衛生啓発活動の取り組み」 (財)サンスター歯科保健振興財団主任歯科衛生士 高稲浩実 「有病小児の歯科治療における留意点」 岩手医科大学医学部小児科学講座教授 千田勝一 「有病小児の実態と小児支援の取り組み」 岩手県保健福祉部児童家庭課主査 和田英子 コーディネーター 岩手県歯科医師会常務理事 西郷慶悦 | | ②ミニステージ 「方言詩の世界」 IBC岩手放送アナゥンサー菊池幸見 | | ③講演 テーマ 「輝いて生きる21世紀」 講師 歌手・女優・木版画家 ジュデイ・オング | | 参加者1,433名 |
過去の歯科保健大会参加人数 第1回 412人 第6回 503人 第2回 519人 第7回 487人 第3回 478人 第8回 304人 第4回 538人 第9回 631人 第5回 576人 第10回 1,433人 第1回-第9回の内容は、別ページに掲載した。

趣旨
6月4日から10日までの歯の衛生週間に合わせ、関係機関と連携をとりながら岩手県民に対し、むし歯予防のみならず「食生活と歯科」「スポーッと歯科」「生活習慣病と歯科」など、歯と口の健康がもたらす体への影響を様々な観点から取り上げ、県民の健康づくりに寄与することを目的として実施する。 また、岩手県歯科医師会館(8020プラザ)を県民に開放し、施設への親近感と歯科医師会の日常的な取り組みなど、歯科保健事業の普及啓発を図る。
第1回
| 日時 | 平成18年6月4日(日) 10:00-15:00 | | 会場 | 岩手県歯科医師会館 | | 内容 | ①スポーッと健康ライフトークショー ロス五輪マラソン日本代表 永田七恵(旧姓佐々木) IBC岩手放送アナウンサー 照井健 森川歯科医院院長 森川伸彦 | | ②健康教室 「食生活でかわる歯と口の健康教室」(岩手県栄養士会) 岩手県栄養士会 斉藤路子 「親子でピカピカ、ブラッシング教室」(岩手県歯科衛生士会) 岩手県歯科衛生士会副会長 佐藤美津子 | | ③アトラクションイベント 「セサミストリート」の人気キャラクター(エルモ&クッキーモンスター)と握手 、写真撮影会 | | ④その他イベント 1)歯と口の知識を学ぼう1クイズラリー大会(盛岡市歯科医師会) 2)パソコン体験コーナー 3)歯に良いレシピ試食コーナー(岩手県食生活改善推進員団体連絡協議会) 4)可愛い石膏模型プレゼントコーナー(岩手県歯科技工士会) 5)牛乳プレゼントコーナー(岩手中央酪農業協同組合) 6)風船プレゼントコーナー 7)移動販売車 | | 参加者522名 |
第2回
| 日時 | 平成19年6月3日(日) 10:00-15:00 | | 会場 | 岩手県歯科医師会館 | | 内容 | ①トークショー テーマ 「家族の幸せと料理」 ゲスト 料理研究家 コウケンテツ | | ②健康講座 「おねえさんとお口の健康を学ぼう!」 岩手医科大学歯科衛生専門学校生徒 | | ③アトラクション 「ポケットモンスター」キャラクターショー | | ④その他イベント 1)歯と口の健康を知ろうクイズコーナー(盛岡市歯科医師会) 2)パソコン体験コーナー 3)歯と体に良いレシピ試食コーナー(岩手県食生活改善推進員団体連絡協議会) 4)歯と口の健康相談コーナー(岩手県歯科衛生士会) 5)「笑顔の写真コンテスト」作品展示コーナー 6)フィギィア模型(石膏)プレゼントコーナー(岩手県歯科技工士会) 7)各種プレゼントコーナー(岩手ヤクルト、岩手中央酪農業協同組合、ロッテ) 8)移動販売車 | | 参加者688名 |
第3回
| 日時 | 平成20年6月8日(日) 10:00-15:30 | | 会場 | 岩手県歯科医師会館 | | 内容 | ①特別講演 テーマ 「人生を楽しくする方程式」 講師 数学者・大道芸人 ピーター・フランクル | | ②健康講座 「おねえさんとお口の健康を学ぼう!」 岩手医科大学歯科衛生専門学校生徒 | | ③アトラクション 「ゲゲゲの鬼太郎」キャラクターショー | | ④その他イベント 1)歯と口の健康を知ろうクイズコーナー(盛岡市歯科医師会) 2)パソコン体験コーナー 3)オリジナルうちわを作ろうコーナー 4)歯に良い料理試食コーナー(岩手県食生活改善推進員団体連絡協議会) 5)歯と口の健康相談コーナー(岩手県歯科衛生士会) 6)8020「健康チェック」コーナー 7)石こう人形(フィギュア)・手形プレゼントコーナー(岩手県歯科技工士会) 8)「笑顔の写真コンテスト」作品展示コーナー 9)各種プレゼントコーナー(岩手ヤクルト、岩手中央酪農業協同組合、ロッテ) 10)移動販売車 | | 参加者665名 |
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