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 歯科医師が行う行為は一般的に歯科保健医療活動が主なものです。歯科医療は日々専門分野が多様化し、その進歩には目覚ましいものがあります。
 一方で歯科医師には、歯科保健医療活動とはまったく異なる社会的な負託があります。歯科的な専門知識を用いてさまざまな警察業務に協力するという社会的な役割です。警察歯科活動と呼ばれていますが、この活動は歯科医師の信義に某づいたもので、過去において先人達が多大な労力と英知を重ね、大規模災害・事故等に際しては多くの身元不明死体の個人識別を行ってきています。そしてこの活動が近年、社会に認知され評価されてきています。
 しかし社会の二一ズにこたえるためには、警察歯科医としての研鑽を積まなければなりません。そして警察歯科医は選ばれた者だけのものではなく、歯科医師であればだれでも応えることができるように準備しておくべきことです。それらの情報提供や、研修の機会を設けることを担うのが警察歯科委員会の役割と考えています。


①大規模事故・災害を想定した多数死体の検屍・身元確認作業の実地訓練

 我が国においては今後も大規模な白然災害の発生する可能性について専門家は語っています。大規模災害・事故において大量死体が発生した場合、過去の例からも多くの歯科医師がその身元確認作業に携わり、多くの遺体の身元を判明させた報告があります。
 このような大規模事故・災害時の対応は瞬時に行うことはできません。あらかじめそのような事態を想定した実地訓練を警察当局と合同で繰り返し行うことにより可能となるものと思われます。

②会員対象とした法歯学的セミナーの開催

 社会が歯科医師に求めている専門性の一つに歯科学的専門知識を用いた身元不明死体の個体識別があります。会員は入会と同時に歯科医師として「警察協力歯科医」という役割を担わなければなりません。個体識別の精度を高めるためにも、会員個々の法歯科学的見識を高め、より専門性を高めるためにもセミナーによる学習を進めたいと考えています。

③所轄警察署における個々の事例に関する個体識別の協力体制の確立

 地域社会における歯科医師の役割として種々のことがあげられます。所轄署における個々の事例の身元不明死体における検屍・身元確認作業は日々の警察業務に対する協力として社会的に高く評価されています。

④警察歯科業務をさらに充実させるために警察歯科委員会の全国セミナー等への参加

⑤警察本部との緊密な連携の確立


大規模事故・災害時の歯科医学的役割は大きく2つに分けられます。

①被災者に対する歯科医療救援活動

 歯科医療救援活動はさらに被災直後の緊急歯科医療活動と、被災後の避難所における避難民の歯科救援活動とがあります。
(平成20年6月発生した岩手・宮城内陸地震においては地区歯科医師会が避難所における避難民に対して迅速な歯科衛生材料の配布、口腔ケア、歯科保健衛生指導等を行ったと報告されています。)
 緊急歯科医療は被災者の機動的救出として以下のことが行われなければなりません。
     1)災害現場での歯科医療
     2)臨時救護所での歯科医療
     3)後方病院歯科への緊急収容
 このような緊急歯科医療に関しては歯科医師会はもとより歯科口腔外科を持つ岩手医科大学歯学部との連携は不可欠となります。
 また、避難所における歯科救援活動は被災者の健康・QOLの観点から「生きる力を支援する、生活を支援する医療」として非常に重要です。そしてこの歯科救援活動こそ歯科医療関係者(歯科衛生十会、歯科技工十会、大学病院歯学部、行政関係者)の協力を得、我々歯科医師会が医療を担う一員として最も果たさなければならない役割なのです。


②多数死体の身元確認作業

 大規模事故・災害時には不幸にして多数の犠牲者が発生します。
 その中には身元を確認できない遺体も発生することが多々あるのです。警察当局から歯科医師会に依頼されることにより対策本部が立ちあげられ、警察歯科委員会を中心に「大規模事故・災害発生時の多数死体の身元確認作業」が行われます。
 歯科医学的見地により警察当局と協力しながら身元不明死体の個体識別作業を行わなければなりません。(これらのことを想定し、現在警察当局と合同研修会を毎年開催しています)
 大規模事故・災害は全く予期しないときに発生するものです。平成7年に、未曽有の犠牲者を生じた「阪神・淡路大震災」を体験した兵庫県歯科医師会は後日震災時の自らの活動を振り返り「大震災と歯科医療」という小冊子にて報告と提言を行っています。現在岩手県歯科医師会においては「大規模事故・災害時における被災者に対する歯科医療救援活動」の体制が十分に整っているとはいえず、このことは今後喫緊に検討しなければなりません。


2009年覚書書締結式

2009年合同研修会の様子

 
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